コインランドリー
ここではコインランドリー経営を1000万円の運用方法として考えている方に向けて、リスクの少ない投資法や運用シミュレーションを解説。リスクから見る消耗ポイントについても触れています。
1000万円のコインランドリー経営- 運用シミュレーション -
コインランドリー経営はコイン式の洗濯機や乾燥機を設置して売上・利益を上げるビジネス。近年はアパートやマンションなどの不動産投資に代わるオーナー業として注目されています。というのも不動産投資と比べると初期費用が安く済み、スタートしてからも管理や人件費が基本的にかからないからです。つまり、不労所得に近いかたちで経営ができます。
経営形態はいろいろありますが、店舗スペースを借りていても15%、自己所有なら20%以上の利回りが見込めるため、空きスペースの活用だけでなく、きちんとビジネスとして成立するのです。それでは年利15~20%とすると1000万円がどの程度増えていくのでしょうか。単純に計算すると以下のようになります。
年利15% | 年利18% | 年利20% | |
---|---|---|---|
元本 | 10,000,000円 | 10,000,000円 | 10,000,000円 |
5年後(元本+運用収益) | 20,113,572円 | 22,877,578円 | 24,883,200円 |
10年後(元本+運用収益) | 40,455,577円 | 52,338,356円 | 61,917,364円 |
30年後(元本+運用収益) | 662,117,720円 | 1,433,706,384円 | 2,373,763,138円 |
100円玉を投入する自動販売機のようなビジネスで本当に儲かるのか?と疑問に思う方もいるかもしれません。ところがコインランドリー経営はコストパフォーマンスに優れていて、高利回りなのです。
コインランドリー経営が高収益なワケ
人件費ゼロ(無人営業)のため、高い利益率を維持できる
私はこれまで金融商品を含めて様々な投資や資産運用について調べてきましたが、コインランドリーほど手間がかからないものはありません。
なぜなら店舗でありながら届け出をするだけで無人営業ができるからです。ビジネスを行う上で最も大きなウェイトを占めるのは人件費です。これがゼロになることでどれだけ利益率が高くなるかは少しでも商売の経験がある方ならすぐにわかるはずです。
コインランドリーは少し規模は大きくなりますが自動販売機を置いているのと同じです。洗濯機と乾燥機を両方使うと客単価は600円程度。大きな機器では1000円を超える場合もあります。
自動販売機と言えばコーヒーやジュース飲料をイメージするかもしれませんが、1回に600~1000円もコインを投入する人はまずいないでしょう。しかも飲料用自動販売機は飽和状態で競争が激しすぎ利用客は分散してしまっています。
定期的な衛生管理はオーナーの仕事です
無人とはいえコインランドリー経営者にもやらなくてはいけないことはあります。衛生管理者を決めて店内の清掃、機器の清掃、排水、換気などをチェックする義務があるのです。ただし常勤で人を置く必要がないので集金の時にそれを行うことも可能です。
コインランドリーもある程度の規模になると掃除を行うためにパートを雇うこともありますが、必要なときだけ依頼すればよいので大きなコストにはならないでしょう。中には客層を確かめたりマーケティングのために自ら清掃を行っているオーナーもいるようです。
また開業や経営をサポートしてくれる会社の中には月額固定の費用で管理を請負ってくれるところもあります。副業でコインランドリー経営をしたいという場合でもしっかりした管理ができるので安心です。
コインランドリー経営での1000万円の使い方
コインランドリー経営は投資信託のようにその事業に対しファンドを組むわけではありません。資金を投入してその運用益が分配される金融商品とは違って、1000万円は機材購入等の購入費用に使われることになります。その内訳は洗濯機や乾燥機、内装などの工事費です。
金融商品ではないですからある意味当たり前のことですが、コインランドリー経営を始めるためにはそうした初期費用がかかることは頭に入れておくべきでしょう。しかしマイナスからのスタートかとがっかりする必要はありません。
営業を開始すれば当然ながら売上が発生します。エリアによって異なりますが1つのコインランドリーの1ヶ月の売上は60万円程度。立地条件が良ければ100万円くらいになることもあります。
コインランドリー経営を長期間続けていけばやがて、初期費用分は回収され、利益だけが残ることになるのです。では、コインランドリー経営の収支についてもう少し具体的に考えていきましょう。
どのくらい儲かる?コインランドリー経営の収支の具体例
初期費用1,000万円の内訳としては機器購入(10台分)代金700万円と工事費300万円となります。
総投資金額1000万円は自己資金500万円、借入金500万円とします。余裕をもって経営するためには総額1500万円程度あることが望ましいですが、ここではわかりやすくするためにこの数字にしました。
月額60万円の売上があるとすると1年で720万円になります。これに対し月々のランニングコストの内訳は以下の通りです。
借入金返済額 | 72,500円 |
---|---|
家賃・管理費・光熱費 | 250,000円(家賃10万円) |
店舗運営代行 (コールセンター) |
10,000円 |
月額費用 | 332,500円 |
店舗運営代行は会社勤めなど本業があることを想定して、利用者からの問い合わせ対応を代行してもらう内容になっています。
月額費用は332,500円ですので、年額にすると332,500×12=3,990,000円。約400万円の年コストがかかるとすると利益分は720万円-400万円=320万円/年ということになります。
仮に1000万円を全額投入して借入金無しで始めたとすると、月額コストは26万円になるため1年にかかる費用は312万円で利益分は720万円-312万円=408万円/年です。ということは3年かからずに初期投資分は回収できてしまうことになります。
もちろん何十年もの間には店舗や設備のメンテナンスが必要になることもありますが、そのために月々の利益の中からマンションの修繕積立金のように月々分けて貯めていくことでリスク回避ができます。
コインランドリー経営のリスクに見る「消耗」の面影
コインランドリー経営で資産運用するためには以下のような「消耗」が考えられます。
経営サポートの委託料である「搾取」
唯一、副業などで始めた場合に、問合せ対応やメンテナンスをサポート会社に委託すると費用が発生します(私はこれを「搾取」と呼んでいます)。しかし、株式投資や為替取引(FX)などの取引をするごとに発生する手数料のそれではなく、月々の固定費として発生するものが多く、必要経費として計算に入れておけば痛手にはならないはずです。
限りなく消耗度が低いのはなぜ?
コインランドリー経営は、他の投資型の金融商品やマンション・アパートなどの不動産投資と比べると消耗度は大変低いもの。それはすでに説明した通り、決済機能付きの機械で無人運営できるというコインランドリー独特の経営形態というのが大きく関わっているからです。
当然ながら日々の売上は気になりますが、そのために一日中パソコン画面に張り付くような「労働」は発生しませんし、基本的に機械を設置するだけなので専門知識は必要ありません。店舗でモノを販売するわけではないので接客やノウハウを「勉強」することも不要です。また店舗は何年も続けていきますが、債券投資のようなローリスク・ローリターンの金融商品とは違って高い利回りが期待できるという点が違います。かけた時間に対して割が合わないという「継続」という消耗もありません
パートナー会社選びが成功のカギを握る!
もちろんビジネスを続けていく上でリスクはゼロではありませんので、安定した経営をサポートしてもらえるパートナー会社を持っておくと安心です。洗濯機・乾燥機の機能や容量なども今後変化していくことも考えられますので、無人経営であっても常に誰かと相談できる体制にしておくべきでしょう。
コインランドリー経営のリスクを軽減してくれる
開業支援会社一覧
コインランドリー経営をサポートしてくれる代表企業
どれほど無人経営できると言ってもコインランドリーは実店舗運営なので何が起きるかわからずに不安という方は多いでしょう。そんな時に力強い味方になってくれる代表的な会社を紹介しましょう。
せんたくウサギチェーン
コインランドリーの経営相談や候補地の紹介、洗濯機・乾燥機等の調達、開業後のメンテナンスサポートまで行っている会社です。開業資金がない場合でも機械のリース・レンタルに対応。市場調査から始まり、収支予測や事業計画、店舗レイアウトなど様々な相談に応じてもらえます。
せんたくウサギチェーンの口コミ・評判
- 最初は自宅横のスペースから始めて現在では福井県内で7店舗展開するまでになりました。中古機を使用して出店していますが、ウサギさんとは10年くらいお付き合いがあって機械の修理等を教えていただき大変助かっています。
せんたくウサギチェーンンの基本情報
会社名 | 株式会社せんたくウサギチェーン |
---|---|
住所 | 大阪府岸和田市額原町84-1 |
URL | http://s-usagi.co.jp/ |
資産運用前に知っておきたい
コインランドリー経営への高まる需要
コインランドリーは、本当に需要されているビジネスなのだろうか?
いくら楽にできると言っても投資する側として気になるのは、コインランドリーにはどれほどの需要があり、果たしてビジネスとして成り立つのか?という点でしょう。
実はコインランドリーは毎年増加傾向にあると言います。2017年2月12日の日本経済新聞(電子版)によればコインランドリーは全国1万8000店に急増したとあり、店舗数だけだとコンビニのファミリーマートに匹敵するそうです。
昔の感覚で考えるとわかりにくいかもしれませんが、それには現在社会を反映するようなきちんとした理由があります。
「乾燥」の需要が増している
以前は自宅に洗濯機がない学生や一人暮らしの人が利用するイメージがありましたが、最近は利用ニーズが変化しています。今では洗濯機はそれほど高価なものではないですし、ほとんどの家にはあるはずです。
それでもコインランドリーが利用されているのはまず乾燥機の需要です。最近は乾燥機能が付いた洗濯機や浴室乾燥機なども増えていますが、それでは効率が悪いのです。一度に大量には乾燥できないですし、時間もかかるためコインランドリーの方が便利というわけです。
大型洗濯機の使用や夜間の利用なども…
またコインランドリーの洗濯機の性能向上もニーズを引き出す要因になっています。家庭には到底置けない大型洗濯機は布団の丸洗いもできますから、いちいちドライクリーニングに出す必要もなく経済的なのです。
さらに働く女性も多くなってきていることから、夜中に家で大きな音をたてて洗濯機を使えないとか、忙しくて洗濯の時間が多く取れないなどの理由で家事のアウトソーシングとしてコインランドリーが利用されるようになってきているのです。
コインランドリー投資のメリット・デメリット
メリット
利益が安定しやすい
コインランドリーでの資産活用は堅実性が高いと言われています。人間にとって必要不可欠な「衣・食・住」に関わるものであり、衣服の洗濯は毎日の生活にとって欠かせません。
そのため、景気によって経営状況が左右されにくく、非常にニーズの高い業種です。さらに、日常的に利用するものであるため、コインランドリーはリピート率が高く、安定した利益が出せるともいわれています。
近年はゲリラ豪雨などの急激な天候の変化や、黄砂や花粉の増加などにより、外に洗濯物を干すことへの不安も高まっています。それらの問題を解消するコインランドリーは、今需要が高まっているサービスです。
手軽に参入できる
コインランドリーのメリットとして、従業員や専門的な知識が必要なく、参入が手軽であることも挙げられるでしょう。
洗濯機と乾燥機さえ揃えられれば、お客様のセルフサービスによって営業が開始できるため、人件費が掛からない点が大きなメリットです。店舗の清掃などを請け負っている業者もあるため、業者に依頼すれば自らが動く必要もありません。
その上、商品の仕入れや在庫などの問題にも縁がなく、原価の管理が簡単です。また、商業施設には適さない場所でも開業することができ、空き店舗を活用しやすいという点も参入にとってはメリットとなります。
狭小地でも開業できる
商業に適さない場所でも開業できるコインランドリーですが、土地や立地の影響を受けにくいという特徴もあります。立地を選ばないことはもちろん、他の業種では経営が難しい狭小地での営業も可能なので、遊休地などの活用にも適しているでしょう。
さらに、店舗の設計は敷地に合わせて自由に決められるため、他店舗との併設も可能。コインランドリーのために土地や立地を選ばなければならないということはありません。
デメリット
初期投資が高額である
コインランドリーの最大のデメリットとなる点が、初期費用が高額になるという点でしょう。機械が全て営業を行ってくれるということは、人件費は必要ありませんが、機械に投資する費用が必要になるということです。
店舗の大きさや設置する機械の台数によりますが、1,000~2,000万円ほどの初期投資が必要だと言われているため、1,000万円の資産活用の場合、資産が不足する可能性もあります。
気軽に参入できる業種ではありますが、これだけの初期投資が必要になるのですから、しっかりと綿密な計画を立ててください。
移転が難しい
コインランドリーの機械設置は簡単ではないため、一度機械を設置してしまうと、移転が難しいというデメリットもあります。
どのような立地でも営業ができるコインランドリーですが、思わぬ事態になったときに、移転を考えることもあるでしょう。例えば、当初の計画よりも集客できないことが判明した場合や、近くに強力な競合店が現れた場合などです。
機械の設置に高額な初期投資が必要になる分、簡単に移転することはできません。テナントの選択は慎重に行いましょう。
競合店との差別化が難しい
コインランドリーは他店舗との差別化が難しく、近隣に大型の競合店が現れたときの対処法が限られます。どの店舗に行っても提供されるサービスはほぼ同様なので、顧客を奪われてしまう可能性もあるでしょう。
ただし、差別化が難しい分、差別化が成功したときの効果は抜群です。
コインランドリー投資を成功させるためのポイント
良い物件を探す
コインランドリー投資を成功させるためには、まずは良い物件を見つけることです。この業種の売り上げは、月に60~80万円が平均的だと言われているため、この売り上げを念頭に置いて、適切な家賃設定の物件を探しましょう。
また、駐車しやすい物件であることも大切。コインランドリーを利用するのは主婦がメインとなるため、駐車しやすい場所、簡単に車を停められる場所など、運転技術が高くない人でも簡単に入れる物件が理想的です。
居心地の良い空間を作る
コインランドリーの主流となっている雰囲気は、暗く、空気が湿気ていて、無機質な雰囲気です。ですが、利用者の立場になって考えてみると、これらの雰囲気は居心地が良いものではありません。
そのため、明るく、空気がカラッとしていて、植物や手書きのポスターで無機質さを失くすなどの工夫が必要。店内のPOPやポスターは定期的に交換して新鮮さを与え、無料のサービスなども充実させて居心地の良い空間を作りましょう。
需要に合った機材を投入する
洗濯機や乾燥機は利用者の需要に合ったものを、適切な配置で設置するようにしましょう。売上の約7割は乾燥機によるものだと言われていますが、需要に合った洗濯機を配置することもポイント。
洗濯機は10~36kgまで容量は様々で、利用者の幅広いニーズに応えることが大切です。高い稼働率を誇る容量の洗濯機のみを置いても、他の容量を使用したい利用客は離れてしまいます。
洗濯機の容量や乾燥機の大きさは、需要とバランスを考えて適切に配置することで、様々な利用者を呼び込むことができるようになります。
コインランドリー経営で失敗するケース
シミュレーションよりも経費が多くなった事例
このケースは、最初に行なっていた収支シミュレーションよりも、実際に必要になる経費がかなり多かったという失敗例です。
ランドリー機器のリース料金や水道光熱費、清掃の委託にかかる費用などを含めて計算していましたが、実際には機器のメンテナンスや修理費用などで経費が増えていきました。さらに、ランドリー機器にトラブルが起きたときには返金をしなければならず、収益は思ったように上がりません。
このような状況で毎月赤字を繰り返すことが多くなって経営が行き詰まり、結局1年も経たないうちにコインランドリーを閉店することになってしまいました。
原因
収支シミュレーションはされていませんでしたが、そこに基本的な支出しか含まれていなかったことが原因でしょう。コインランドリー経営で起こり得ることをもっと綿密に調べ、より現実的な収支シミュレーションを組み立てなかったことに問題がありました。
気を付けるべき点
コインランドリー経営経験者の話は、インターネットや雑誌、セミナーなどで聞くことができます。このような媒体からより多くの情報を得て、コインランドリー経営の実情を知ることが大切です。何かあった場合に備えて、収支シミュレーションは厳しめに行なっておくことをおすすめします。
大通りに面した立地が仇となった事例
このケースは、大きな国道沿いにコインランドリーを開業させましたが、それが仇となって「車で入りにくいコインランドリー」になってしまった失敗例です。
「コインランドリー経営には大通り沿いが良い」という情報を信じて、中央分離帯がある国道の交差点近くを選んで開業しました。ですが、実際に経営を始めてみるとなかなか集客ができません。利用希望者はいるものの、車で入りにくいため利用を諦められてしまうようです。
車での利用を前提とした店舗だったので、集客が続かない状態は続き、結局移転するために多額の費用を費やしました。
原因
大通り沿いの店舗は車の往来が激しいため、車の運転が得意ではない主婦層が利用を敬遠してしまったことが原因でしょう。また、中央分離帯がある道路では右折ができないので、反対側を走行している車では利用できないことも原因のひとつです。
気を付けるべき点
コインランドリー経営では立地が非常に大切です。大通り沿いは人目につきやすい立地ですが、住宅街の小さな道路沿いの方が車で入りやすく、主なターゲットである主婦層の利用率が高くなる可能性もあります。
相次ぐクレームに対処できなかった事例
このケースは、副業に向いていると聞いて始めたコインランドリー経営で、利用客からのトラブルによるクレームに対処できなかったという失敗例です。
コインランドリー経営は無人で経営ができて、手間がかからないことが魅力だと聞いていましたが、実際に経営を始めてみると利用客からのクレームがくるなど、トラブルが多いことに頭を悩まされていました。日中は本業でクレームにもすぐに対処することができません。
結果的に運営を委託することでクレームやトラブルにも対処できるようになりましたが、それまでは固定客がつかず、赤字が続いていたといいます。
原因
副業でありながら、日中の管理ができない状態でコインランドリーを開業させたということが原因です。また、クレームやトラブルが起こり得るということも考慮するべきでした。
気を付けるべき点
副業でコインランドリー経営を始めるという方は、やはり開業支援会社からのサポートが欠かせません。トラブルやクレームへの対応力が高い開業支援会社を利用すれば、副業として問題なく成り立つでしょう。